コラム
【レンジローバースポーツ】街乗り快適と長距離の両立は本当か
信号待ちでふと視線を上げると、ボンネットの端がきれいに見渡せる。
発進すれば、分厚いトルクが車体を押し出し、段差は“音だけ置き去りにして”足まわりの奥で処理されていく――
レンジローバースポーツ(以下RRS)の第一印象は、まさに『余裕のある運動神経』です。
ではタイトルの問い、「街乗り快適と長距離の両立」は本当なのか。
結論から言えばイエス。
その根拠を、日常と旅という二つのシーンから解きほぐします。
街乗りで分かる『密度の高い快適さ』
RRSの快適さは、単に柔らかい乗り味ではありません。
コマンド・ドライビング・ポジションがもたらす見晴らし、
着座位置とペダル・ステアリングの自然な位置関係、
そしてエアサスペンションや減衰制御のきめ細かさ。
これらが組み合わさって、混雑した市街地でも『構えずに運転できる』安心感を生みます。
低速域の段差やマンホールも角を丸めて処理し、ステアリングは軽すぎず重すぎずの適度な手応え。
背の高いSUVでありながら、車体の動きが一歩先回りして収束するので、同乗者が酔いにくいのも美点です。
長距離で効く『静けさ』と『体幹の強さ』
高速道路に上がると、RRSの本領が出ます。
風切り音とロードノイズは抑え込みが巧みで、
会話が自然な声量で続くキャビンの静けさは、旅の体力を確実に温存してくれます。
適度な段差では一拍の<溜め>を感じさせつつ、二度揺すらないボディコントロール。
レーンキープやアダプティブクルーズといった支援系も、あくまで運転のリズムを乱さないように作動します。
夜間はヘッドライトの配光と視点の高さが効き、視界は常にクリア。
走り終えたあと、「まだ行ける」と思わせるのは、静粛と姿勢制御の総合力です。
グレードとパワートレイン、どう選ぶ?
呼称は世代により変遷しますが、
おおむねS/SE/HSE/Autobiographyという階層と、スポーティに振ったDynamic系が存在します。
走りと快適性のバランスで見るならSE〜HSEが『ちょうどいい上質』。
素材・装備が厚く、旅の質が一段上がります。
パワートレインは、街乗り中心で静けさ重視ならガソリン、長距離や荷物・人を乗せる場面が多いならディーゼルの太いトルクが相性良好。
自宅充電環境が整うならPHEVも魅力で、平日電気・週末ガソリンという使い分けは理にかなっています。
ホイールサイズと乗り味の関係
ホイールは見た目を決定づけますが、インチアップは乗り心地とコストに跳ね返るのが定石。
街乗りでの段差の角は立ちやすく、タイヤ・ブレーキの維持費も上がりがちです。
デザイン重視でも、タイヤの『厚み』に余裕が残るサイズを選ぶと、RRSらしい上質さが長く保てます。
中古という選択肢が『賢く、楽しい』理由
【減価の曲線】
高級SUVは初期の値落ちが大きく、3〜5年落ちで価格と装備のバランスが最良に。
上位グレードやオプション込みの『憧れ仕様』が現実味を帯びます。
【装備の熟成】
安全支援やインフォテイメントがこなれた年式を狙いやすく、実使用での満足度が高い。
【保証と履歴の安心】
ディーラーの認定中古は点検基準と保証が明確。
一般中古でも整備記録の透明性を重視すれば、良個体に出会えます。
使い方別・簡易アドバイス
【街乗り7・高速3の方】静けさ優先でガソリン×SE/HSE、ホイールは控えめに。
【高速・長距離が多い方】ディーゼル(または大排気量系)×HSE以上。アダプティブダンパー装備が効きます。
【家族でアウトドア派】ラゲッジの使い勝手と積載形状を現車で確認。ルーフレールやヒッチ周りは後付け可否もチェック。
それでも『スポーツ』を名乗る理由
RRSは、単純な硬さや鋭さでスポーティさを演出しません。
重心の移動が滑らかで、ドライバーの意図に対して一拍だけ速く反応して先回りするような、独特の俊敏さがあります。
街では安心感に、峠では軽やかさに、高速では安定感に変換される『運動性能の余裕』。
この幅の広さこそ、RRSが長年支持される理由です。
まとめ:日常を上質に、旅を軽やかに
レンジローバースポーツは、街でのストレスを減らし、長距離で『まだ行ける』と思わせる車です。
視界・静粛・姿勢制御という三拍子が、日々の移動を小さなご褒美に変えてくれる。
もし新車で届かない仕様に憧れているなら、中古というスマートな入り口を。
まずは候補を2〜3台に絞って短い試乗を。
ハンドルに触れた瞬間、あなたの生活にフィットする『ちょうどいい上質』が、きっとわかります。